アルケンとは
炭素Cと水素Hだけでできている炭化水素で、二重結合C=Cを1つもつ鎖状のものを『アルケン』といいます。アルカンから水素Hを2つ取り、二重結合を作ったものと考えればいいでしょう。なので、一般式はCxH2xとなります。
鎖状ですが、直鎖でも枝分かれしていても構いません。環構造は持ちません。例えばこんな構造です。
アルケンの名称と構造式
アルケンの名称は、国際名の場合、アルカンの語尾「ane」を「ene」に変えればよいです。慣用名の場合は、アルカンの語尾「ane」を「ylene」に変えます。
エタンC2H6 → エテン(エチレン)C2H4
プロパンC3H8 → プロペン(プロピレン)C3H6
ブタンC4H10 → ブテンC4H8
アルケンのブテンC4H8には4つの異性体が存在します。CH2=CH-CH2-CH3やCH3-CH=CH-CH3のように二重結合の位置が異なるパターンと直鎖と枝わかれのパターン、更には立体異性体のシス-トランス異性体(幾何異性体)が存在するからです。
1-ブテン、2-ブテン
C=C結合の位置が異なるパターンの構造異性体です。炭素C骨格の端にあるパターンと真ん中にあるパターンの2通りが考えられます。
2-ブテンのシス型とトランス型
1-ブテンには、シス-トランス異性体(幾何異性体)は存在しませんが、2-ブテンにはシス-トランス異性体(幾何異性体)が存在します。
2-メチルプロペン
途中で枝があるパターンです。直鎖部分には3つの炭素Cが並ぶので、名称にはプロペンがつきます。
以上がアルケンについての内容です。エチレン(エテン)やプロピレン(プロテン)などは重要ですので、必ずマスターしてください。
アルケンの製法『エチレンCH2=CH2』の製法
エチレン(エテン)CH2=CH2は、実験室的にはアルコールの脱水で得られます。エタノールC2H5OHと濃硫酸H2SO4を混ぜ、160℃~170℃に加熱すると、分子内で水H2Oが取れる脱水反応が起こります。
ただし、130℃~140℃で加熱すると、エタノールC2H5OHの2分子間の脱水反応(縮合)が起き、ジエチルエーテルC2H5OC2H5が生成します。
アルケンの化学的性質
アルケンは炭素C骨格内に二重結合をもっています。1つはσ(シグマ)結合と言って強い結合ですが、もう1つのπ(パイ)結合は弱い結合です。そのため、他の粒子からのはたらきかけがあると、結合が開裂して反応が起こりやすいです。このとき起こるのが付加反応です。
酸の付加
アルケンのC=C結合にはHClのような酸が付加することがあります。
ハロゲンの付加
臭素Br2のようなハロゲンにも付加します。Br2水中にエチレンを通すと、臭素が付加します。臭素水が赤褐色であるのに対して、生成物の1,2-ジブロモエタンは無色になります。
この反応は、Br2の赤褐色の色が無色に変わるので、C=Cの検出に使うことができます。
水素H2の付加
アルケンは、水素H2とも付加反応を起こします。付加反応後アルカンになります。この反応には触媒としてPtやNiが必要です。PtやNi触媒はH2分子を原子状に分解し、付加反応を起こしやすくするはたらきがあります。
水の付加
希塩酸H2SO4(触媒)中にアルケンを通すと、水による付加反応が起こります。
以上がアルケンの製法と性質になります。アルカンと比べると、二重結合があるために反応性が高いです。製法も付加反応も重要ですので、しっかり覚えてください。
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