「わが家の119番」理事長・永田和富が語る空き家の総合対策

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福岡県内に存在する「空き家」の総数は、2013年調査時点で約32万戸。人口の減少、高齢化や過疎化が進む現状を考えるとその数は年々増加の一途をたどることが予想されます。そんな「空き家」問題を解決するために日々奔走する、NPO法人『わが家の119番』理事長・永田和富氏が、空き家の総合対策を力説します。

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今津地区での空き家の総合対策

永田和富1

永田さんは、現在NPO法人『わが家の119番』理事長として、福岡県の広域に渡り、住まいを取り巻く課題を解決するために日々精力的に活動されています。中でも注力しているのが今津地区の空き家の総合対策です。

永田「空き家問題と一言で言っても、空き家に『なる』問題と、空き家が『ある』問題の2つが存在します。この両局面から総合的な空き家対策を行うことが必要。」

空き家に『なる』問題の背景には、人口の減少と単身高齢者の急増があるようで、今後加速度的に進行する人口減少を考慮すると、ますます空き家が町中に増えることが予想されます。

空き家の発生予防事業では、自治体や地元の民生委員さんと協力し、空き家マップの作成や発生予防の啓発セミナーなどを開催されています。また、相続や税務等の相談窓口を設けることによって空き家になる前に対処する事業を行われています。

空き家が『ある』問題は、空き家の家主さんとの交渉を行い、空き家を貸したりすることで有効活用する必要があります。高齢の家主さんとの交渉をうまくまとめ上げ、リノベーションにより貸せる状態までもっていくことで空き家の減少を図ります。しかし、高齢の家主さんとの交渉は一筋縄ではいかないようです。

永田「1対1の交渉ではなかなか家主さんは動いてくれません。高齢になると今から貸家にするリスクを背負いたくないと考えられる方がほとんどです。地域のコミュニティや地元の民生委員さんとも協力し、地域全体の問題としてとらえる必要があります。」

空き家が増えると、地域に様々な悪影響が発生するします。空き家が増えることで、建物の倒壊の危険性が増したり、治安の悪化が懸念されます。また、環境や美化の点でも地域にとって問題となることでしょう。

NPO法人『わが家の119番』は、主にこの空き家の管理の拠点として、交渉からリノベーション、そして貸し出しまでを総合的に請け負って行けるように対策を講じられています。

粘り強い執念の交渉

自治体や地元の家主さんとの交渉にはかなり苦労されたようです。

永田「時間と労力をかけた執念の交渉でした。ここまで持ってくるのに足掛け4年。やっと動き出せる体制が整いました。自治体との交渉では特に時間がかかりました。行政は縦割りの組織で、建物、福祉、美化のすべてが違う窓口。最初はたらいまわしにされることもありましたが、現在は柔軟に対応していただいています。」

空き家の活用には、地方自治体、自治区の地元関係者、様々な業種の人々との連携や協力体制の構築が必要です。自治体にしかできないことや、地域のみが知りえる情報、専門性が問われる課題など一筋縄ではこの問題は解決しません。

永田さんは、この『空き家問題』を解決することを自分への使命として日々活動されています。そのうえで必要なことは「時間をかけた執念の交渉」です。今の若い世代に伝えたいこととの一つではないでしょうか。

なぜ今津地区なのか?

今津は、福岡市西区の西の端にある地区です。糸島半島の東側の付け根にあり、福岡市中心部にも近い場所でもありながら、美しい砂浜や豊かな森が多数存在する地区です。史跡も多く存在し、元寇防塁跡などは有名ではないでしょうか。福岡県広といえども、なぜ今津地区で空き家問題を取り上げたのでしょう。

永田「ご縁ですね。先代の理事長からNPO法人『わが家の119番』を引き継いだとき、ちょうどボランティア交流センター・あすみんで今津の方々とお会いしました。当時は西方沖地震の影響で、空き家の危険性があらわになっていました。そのとき定住促進というストーリーが頭の中でできあがりました。」

今津地区にはおしゃれなカフェなども多数存在し、九州大学伊都キャンパスとも非常に近い場所です。ここには昔からの地主さんが多く住まわれており、立派な家屋が多数存在します。しかし、高齢化も進行していて空き家の数も増加傾向にあります。

今後の展開は?

永田「足場は固まりつつあります。今からが正念場ですね。リノベーションをされる方への融資制度なども整いつつあります。今後は、今津に住みたい方と、空き家を貸したい家主さんとのマッチングにも力を入れていきます。そして、ゆくゆくは定住促進に、生活困窮者への住居の提供まで実現できるのが理想ですね。」

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現場に多く足を運び、地道な執念の交渉や調査が実る日は近いようです。永田さんが持っている汗と努力がしみ込んだ大きなカバンがそれ物語っていました。

見えないものを感じる・心で感じる

空き家問題に尽力されている永田さんですが、表情からもわかるように非常に温厚な性格の持ち主で、一緒にお話をさせていただくときは、温和な雰囲気にあたりが包まれます。

NPO法人の運営の傍ら、地元の神社の管理もされている永田さんは、地元の小学校に神社の歴史などの講演にも行かれるようです。カバンの中には、そのとき小学生からもらった感謝の言葉や、子どもたちの率直な質問などのお手紙が入っていました。

子どもたちの質問には真摯に答えをお手紙に書いて返信しています。小学校低学年の子どもでも分かるように漢字にすべて読み仮名を入れたり、説明が難しい話の場合には、少し大きくなってから読むお手紙を添えたりと、一つ一つの行動に永田さんの温厚さがにじみ出ていました。

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永田「見えないものを感じる。心で感じる。神様もそうですよね。この見えないもの、心で感じるものを大切にしてほしい。」

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まとめ

インタービューを終えて、永田さんの真摯さと温厚な性格が非常に印象に残りました。空き家問題の解決は一筋縄ではいかないでしょうが、時間がかかってもいいのでぜひ成功してほしいと願います。

今後はリフォーム物件の紹介や、貸家情報なども提供していきたいと思っています。今後の永田さんの活躍に期待します。

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