近年、福岡では異常気象による水関連の被害が相次いでいます。短時間で集中的に降る大雨は河川の氾濫や都市部での洪水を引き起こし、一方で日照り続きの夏には深刻な水不足が発生しています。これらは生活用水や農業、インフラにも大きな影響を及ぼし、地域の安全と暮らしを揺るがしています。本記事では、福岡で近年頻発する大雨洪水と日照りによる水不足の現状、原因、そして今後の対策について詳しく解説します。
はじめに — 福岡を襲う異常気象の二重苦

近年、福岡県では豪雨と渇水という正反対の水害が、年ごとに繰り返し発生しています。梅雨や台風シーズンには、短時間で大量の雨が降る「集中豪雨」や線状降水帯が発生し、河川の氾濫や都市部での浸水被害が相次いでいます。一方で、夏場には高気圧の停滞による長期間の晴天が続き、ダムの貯水率が急速に低下。給水制限や農作物の減収など、深刻な水不足に見舞われています。
この二重苦は、市民生活や経済活動にも大きな影響を与えています。豪雨による洪水は、家屋や道路の浸水、交通網の麻痺を引き起こし、避難を余儀なくされる住民も少なくありません。逆に渇水の時期には、生活用水の節約や給水車の出動が必要となり、農業では作物の品質低下や収穫量の減少が発生します。水を大量に使う工業も生産調整を迫られるケースがあり、地域経済全体に影響が及びます。
本記事では、福岡が直面している大雨洪水と水不足の現状を整理し、その原因や背景を明らかにするとともに、行政や市民が取り組むべき対策を提案します。気候変動が加速する中、これらの課題を正しく理解し、将来に備えることが不可欠です。
福岡の大雨・洪水の現状

1999年(平成11年)6月29日、福岡市では1時間最大79.5ミリという記録的な集中豪雨が発生し、御笠川の氾濫などにより市街地で床上浸水1,273棟、床下浸水4,890棟の被害が出た。博多駅周辺では約1メートルの浸水が起こり、地下街に濁流が流れ込み、人的被害も発生した。交通機関もJRや地下鉄が運休するなど、都市機能が大きく麻痺した。
近年では2017年の九州北部豪雨以降、福岡県内では毎年のように洪水被害が報告されている。2023年7月の大雨では、筑後地方を中心に河川の氾濫や土砂災害が発生し、住宅被害や避難者が多数出た。こうした豪雨被害の累積が、福岡の水害リスクを一層高めている。
都市型洪水の背景
急激な都市化と排水能力の限界
福岡市では近年、宅地化や市街地化が急速に進み、地面が雨水を貯留・浸透させる能力が低下している。その結果、降った雨が短時間で下水や河川に集中し、排水能力を超えてしまう「都市型水害(内水氾濫)」が発生しやすくなっている。激しい雨の際にはマンホールから水が噴き出したり、道路冠水が頻発したりと、インフラの限界が明らかになっている。
地形的特徴(河川・低地エリア)
福岡県は北部が玄界灘、西南部が有明海に面し、筑後川や矢部川など複数の河川が平野部に広がっている。これらの河川は短く急勾配な支流を持ち、大雨時には流域から一気に水が集まる特性がある。また、都市部や河口付近には低地が多く、浸水リスクが高い。
気象要因
福岡県は梅雨末期や台風シーズンに線状降水帯の影響を受けやすく、短時間に猛烈な雨が降ることが多い。2017年7月には九州北部で線状降水帯が発生し、観測史上でもまれな大雨となった。こうした気象現象は、梅雨前線が停滞したり台風が接近したりすることで引き起こされ、近年は地球温暖化の影響もあり発生頻度や規模が増加していると指摘されている。
水不足が起こりやすい福岡の現状

梅雨シーズンに入り、毎日じめじめとした日が続くとき、福岡市にとってはこの雨がとても重要になります。福岡市は度々大渇水に見舞われ、深刻な水不足が起こっています。
福岡市の水不足の記録をまずは探ってみると、過去に2回大渇水に襲われています。昭和53年の「福岡大渇水」、平成6年「平成大渇水」に、かつてない少雨により大渇水に見舞われましています。最大で20時間程度断水が起こり、かなりの長期間取水制限がかかっています。また、最近では平成11、14、17、18年に渇水対策がおこなわれ、取水制限がかかっています。
今後も福岡都市の水需要は増加の一途をたどるはずです。人口の増加、都市化が進み、水不足は福岡市の死活問題にもなっているのです。
なぜ福岡市は水不足に襲われやすいのか
実は、福岡市は地理的条件から水資源に全然恵まれていません。福岡市の弱点はここにあります。そのため、遠く筑後川からの受水も行っています。
福岡市は筑後川以外にどこから水資源を手にしているのでしょう。福岡市の水源は、8つのダムと、近郊河川、福岡地区水道企業団つまり筑後川からの受水でまかなわれています。多くの水源を市外に頼っている状況です。
水不足は福岡市にとって非常に深刻な問題です。日ごろから水を無駄に使わないような生活を心がけていきたいですね。
福岡市の水源詳細
福岡市の水源別取水割合は、
- ダム 38.5%
- 近郊河川 26.9%
- 企業団受水 34.6%
となっています。福岡市水道局のわかりやすい図があったのでご紹介しておきます。

提供:福岡市水道局
福岡市水道局はこちらhttps://www.city.fukuoka.lg.jp/mizu/somu/index.html
今後の課題と展望
福岡を含む日本各地では、地球温暖化の影響により気候の極端化が進んでいます。豪雨や猛暑、長期間の渇水など、従来の気象パターンでは想定しきれない現象が増加し、水害や水不足のリスクが高まっています。今後はこれらの変化を正確に予測・分析し、気候変動に適応した地域づくりが求められます。具体的には、最新の気象データの活用や防災技術の高度化を進め、災害の早期警戒体制を強化することが重要です。
水資源の安定確保と災害対策の両立
福岡では、大雨による洪水対策と日照りによる水不足対策を同時に進める必要があります。河川の改修や排水設備の整備で洪水リスクを軽減しつつ、ダムや貯水池の管理を強化し安定的な水供給を維持することが欠かせません。また、雨水の有効活用や地下水の適正利用も重要な取り組みです。これらの対策は互いにバランスを取りながら進める必要があり、単独の対策では限界があります。
行政・企業・市民の協働の必要性
水問題は行政だけで解決できるものではありません。地域の企業や住民一人ひとりが防災意識と節水意識を持ち、協力し合うことが不可欠です。行政は災害対策やインフラ整備、情報発信を担い、企業は環境負荷の低減や水資源の効率的利用を推進します。市民は日常生活での節水や地域の防災活動への参加を通じて、地域全体の安全・安心を支えます。福岡の未来を守るためには、この三者が連携し、持続可能な水利用と災害に強いまちづくりを進めることが求められています。
コメント